アブダビに400万リットル規模の発酵施設立ち上げへ、ViviciとThe EVERY Companyが現地の投資庁と提携

精密発酵スタートアップのViviciとThe EVERY Companyが、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Office)との提携を発表し、独自のアニマルフリータンパク質を生産する産業規模の施設を設立する計画を明かしました。
施設立ち上げと規制クリアに向けた支援を実施
UAEの首都アブダビの政府機関であるアブダビ投資庁(ADIO)は、オランダ企業のViviciおよび米国のThe EVERY Companyとの提携により、400万リットル規模の精密発酵施設を設立する構想を支援。また、新規タンパク質に関する規制枠組みの構築においてもサポートを行います。
この戦略的提携は、代替プロテイン生産などの先進技術で食料安全保障の強化と水不足対策を図る目的で昨年発足した、ADIOのAGWA(AgriFood Growth & Water Abundance)クラスターの一環。
AGWAの責任者Fatima Al Dhaheriは、「発酵タンパク質分野の世界的リーダー企業との連携により、当地域に高品質な栄養を供給し、投資を呼び込み、高度な技能を要する雇用を創出する全く新しい産業を促進したい」とコメントしました。
AGWAは昨年、イスラエルの培養肉企業Believer Meatsとも提携し、新拠点の設置と規制経路の確立に向けた支援を行うとしています。
欧州・アジア・アフリカ市場への窓口に
Viviciは精密発酵により乳清タンパク質の一種であるβ-ラクトグロブリンを生産。ゲル化・気泡性・結合特性を持つ完全タンパク質を再現し、米国での販売認可も取得済みです。
The EVERY Companyも同じく精密発酵を手掛けていますが、注力しているのは卵白タンパク質。米国で2つの原料の商品化に成功しており、ミシュラン3つ星レストラン「Eleven Madison Park」のメニューにも登場しています。
3社の提携では、最高水準の食品安全基準とハラール認証基準を満たす施設の設計、資金調達、商業化に注力。この施設は複数のテナントが入居する形を想定しており、将来的にほかの発酵タンパク質企業の参加も見込んでいます。
さらに、3社はUAEの包括的経済連携協定を通じた輸出機会を模索し、欧州・アジア・アフリカの高成長市場への窓口としてのアブダビの役割を強化する計画。
The EVERY CompanyのCEOを務めるArturo Elizondoは、「規制面での支援、世界市場へのアクセス、そして強力なイノベーション文化を兼ね備えたアブダビは、世界の食料システムを変革を加速させるのに最適な環境だ」と語っています。
参考記事:
ADIO partners with The EVERY Company and Vivici to scale alternative protein production using fermentation technology
Vivici, The Every Co to Set Up Large Animal-Free Protein Factory in Abu Dhabi
Breaking: Vivici and The Every Co explore 4m-liter alt protein facility in UAE


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