Cosaicが原料大手Ingredionと提携、酵母を活用したアニマルフリー乳化剤を世界の食品ブランドに提供へ

スイスのスタートアップ企業Cosaicが、動物性原料を使用せずに乳製品のようなクリーミーさを実現する新たな酵母ベースの乳化技術を拡大・商業化する目的で、米国の大手食品原料サプライヤーIngredionとの戦略的提携を発表しました。
グローバルな商業基盤とノウハウを活用
両社間の合意は、約120カ国で事業を展開するIngredionのグローバルな商業基盤とCosaicの発酵技術に基づく原料プラットフォームを結びつけるもの。
持続可能性の向上、官能特性の改善、安定した加工特性を備えた原料への需要が高まる中、市場投入を加速する現実的な道筋として位置付けられています。
Cosaicはここ数年間で発酵技術の改良を続け、機能性飲料、コーヒーミルク、ソース、ドレッシングなど多様なカテゴリーにおいて、乳製品のようなクリーミーな口当たりと安定性をもたらす原料を生み出しました。
成長する過程で脂肪を蓄積する性質を持つ油性酵母のみを用いた原料で、アニマルフリーかつクリーンラベルを実現し、ラベル表示の簡素化と環境負荷低減を追求する食品メーカーの製品改良を支援するものです。
主力製品の「Cosaic Neo」は、脂肪、タンパク質、食物繊維を統合し、自然に安定した乳化状態を形成する乳化剤。食品メーカーは通常、クリーミーさと安定性を得るため脂肪、タンパク質、炭水化物、各種添加物の組み合わせに依存していますが、これらの成分を一体化させる微細構造により単純な代替品を超えた機能性を発揮します。
来年にも米国で製品発売を計画
この提携により、Ingredionは米国を起点にCosaicの市場投入戦略を支援する計画。両社はさらに共同で新製品を開発し、Cosaicの製品ラインアップを拡充させます。
Ingredionにとっては、持続可能性への取り組みを推進しつつ、消費者になじみのある官能特性を提供しようとするブランド向けに特殊原料の品揃えを拡大する一連の動きの一環。
顧客の間で広く需要が形成されている要因として、同社は動物由来成分を使用しないでクリーミーさを生み出すソリューションと、より効率的な生産方法への関心の高まりを挙げています。
発酵生産のスケールアップを狙う多くのスタートアップ企業にとっては、資金のほかに、グローバルな販売チャネルや規制制度に関する専門知識へのアクセスが必要。このため、アーリーステージのイノベーター企業と多国籍企業との間で提携を活用する事例が拡大しています。
精密発酵を手掛けるStanding Ovationは、乳製品大手のベル・グループや味の素との提携を実現させてプレゼンスを強化。マイコプロテイン原料を開発するEniferは、スケールアップを目指す上で、大手エタノール生産会社FSとの協業に至りました。
Ingredionはまた、米国の精密発酵企業Oobliとも今年提携を実施し、砂糖の代替となる甘味タンパク質の共同開発を進めています。
参考記事:
Ingredion and Cosaic forge partnership to bring yeast-based creaminess to global food brands | PPTI News
Cosaic partners with Ingredion to commercialize fermentation ingredient platform
Ingredion taps Cosaic’s yeast-based ingredient amid push to broaden its portfolio | Food Dive


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