Fork & Good、Extracellular、Nutrecoの3社が戦略的提携を実施、培養肉生産のスケールアップ加速を目指す

事業拡大とコスト削減を目指す米国の培養肉スタートアップFork & Goodが、オランダの大手飼料サプライヤーNutreco、および英国の受託製造企業(CDMO)Extracellularとの戦略的提携を発表しました。
3社の強みを結集し、未来の食に関する研究開発と量産プロセスを推進することで、代替タンパク質の普及拡大を目指します。
培養肉の商業化に向け必要な協業が実現
Fork & Goodは昨年、スイスで培養豚肉30%入りのダンプリングを提供して、欧州で培養肉の公開試食イベントを開催した初のスタートアップ企業となりました。
ニュージャージー州の本社に併設されたパイロットプラントでは年間最大数トンの培養肉を生産可能なほか、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにも子会社を保有しています。
商業生産の規模では細胞バイオマス1ポンドあたり5ドル(キロ単価約1,720円)のコストを目標としており、最終的には一般的な豚肉と同等の1ポンド2ドル(同686円)まで引き下げる計画です。
本提携では、Fork & Goodがコスト効率の高い培養肉原料を、Nutrecoが培養に欠かせない高性能な培地の処方を開発し、Extracellularは産業展開に必要なバイオ製造インフラと研究開発の基盤を構築。また、強靭で長期的なサプライチェーンの確立に向けて供給関係を築いておく狙いです。
Fork & GoodのCEOを務めるNiyati Guptaは、「当社はすでに業界で最も効率的な培養肉プラットフォームの一つを有している」と主張。「Nutrecoの食品グレード培地と、ExtracellularがCDMOとして展開する研究開発を組み合わせて、顧客に大規模かつコスト効率の良い培養牛肉・豚肉を供給するためのサプライチェーン基盤を構築中だ」と述べました。
バイオプロセス設計を担当するJon Leeは、「この種の提携こそ、培養肉産業が商業化の実現に向けた進展を加速させるために必要としているものだ。共通の課題解決に向けて協力することで、当社のみならず、業界全体の生産者やベンダーにとって製造リスクを大幅に低減できる」とコメントしています。
他企業との関わりを深めるFork & Good
Fork & Goodは先日、同業の米国企業Orbillion Bioを買収して、事業を統合させました。すでに取引を開始している北米と東アジアの顧客のほか、Orbillion Bioの欧州・中東におけるつながりも取り込み、グローバルな顧客基盤やパートナーシップを強化する考えです。
2019年にOrbillion Bioを設立したPatricia Bubnerによると、Fork & Goodへの統合は非常に順調に進んでいるとのこと。両チームは数カ月前から協働し、共同で顧客への提供を続けながら商品ラインを拡充しているといいます。
Extracellularはバイオプロセスのスケールアップを請け負う生産能力を構築しており、2023年に培養肉・シーフード専門の細胞バンクとパイロットプラントを立ち上げました。
家畜飼料や水産飼料の分野で30年の歴史を持つNutrecoは、培養肉に特化した安価な食品グレードの培地開発に取り組み、昨年には専用工場の開設も発表。BlueNaluやMosa Meatといった培養肉企業と連携して、業界の成長を支援しています。
参考記事:
Fork & Good Partners with Nutreco & Extracellular for Affordable, Scalable Cultivated Meat
Fork & Good, Extracellular and Nutreco form strategic partnership to accelerate cultivated meat scale-up | PPTI News


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