英国議会の科学技術局(POST)が、培養肉の機会と課題を探る新たな研究プロジェクトに着手

英国議会が、食料安全保障、持続可能性、公衆衛生への貢献の可能性に焦点を当て、培養肉を取り巻く機会と課題を探る新たな研究プロジェクトをスタートさせました。

5月に調査結果の発表を予定


英国議会科学技術局(以下、POST)が主導するこの研究プロジェクトでは、昨年7月にペットフード用としての認可が下りた培養肉について、今後ヒトの食用として市場に出すために必要なステップを評価します。

また、培養肉生産の機会と課題を調査することを目的としており、機会の面では温室効果ガス排出や水使用、森林伐採を削減する可能性など、環境上のメリットや栄養学的な側面を検証。

課題については、高い生産コストやスケーラビリティの向上、規制の道筋、そして依然として重要な要素である一般消費者の認識などを取り上げます。

POSTはプロジェクトの内容に関連した情報を得るため、研究者、業界の専門家、ステークホルダーの協力を募っています。別途定めるガイドラインに従ったオンラインでの情報提供を呼びかけており、期限は2025年2月21日。

これを受けて研究を進め、培養肉セクターと英国の食料システムを変革する可能性に関する重要なインサイトを政策立案者に提供する調査結果が、5月に発表される予定です。

エコシステム全体の成長が見られる英国


英国では、培養肉セクターのイノベーションを推進する企業の活気あるエコシステムが拡大を見せています。

Hoxton Farmsは、代替プロテイン製品の味と食感を向上させる鍵となる培養脂肪の生産に注力。Ivy Farm Technologiesは、今年にも培養牛肉の製品化を目指しています。

Multusは、アニマルフリーの無血清培地で多大なコストのかかるウシ胎児血清(FBS)を代替。昨年初めには世界初となる培地の大規模工場を開設しました。

Extracellularは、培養肉生産を効率的に拡大するための生産プラットフォームを整え、研究を支援する目的の細胞バンクも立ち上げています。

昨年10月、政府は認可プロセスを迅速化する目的で、規制適用の例外を設けるサンドボックスを創設しました。培養肉セクターにおけるこのような試みは欧州では初となり、認可申請を行うスタートアップ企業に対してサポートが提供されるなど、規制の透明化にもつながるとみられています。

参考記事:
UK parliamentary research project to explore the future of cultivated meat | PPTI News
UK parliament launches research project on cultivated meat | The Cell Base

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