イスラエルの培養肉企業Ever After Foods、代替プロテインへの関与を深めるBühlerとの提携を実施

独自技術で培養肉生産用のプラットフォームを開発するイスラエルのEver After Foodsが、食品・先端材料の加工装置を製造するグローバル企業Bühler Group(ビューラーグループ)との提携を発表しました。両社共同で、培養肉の商業生産システムの市場化を進めます。

代替プロテインへの関与を深める大手企業


Ever After Foodsのシステムは、既存技術の10分の1の規模で培養肉生産を可能にするもの。CEOのEyal Rosenthalによると、「ほかの企業が2万リットルの巨大なバイオリアクターを必要とするところ、当社のシステムは2,000リットル以下で同じ量を生産できる」とのこと。

環境面でも、畜産に比べて大気汚染を93%、土地利用を95%、水の消費を94%削減できるといいます。

Bühler Groupは、これまでにも代替プロテインに注力しており、大豆などの豆類、油料種子、昆虫、微細藻類を原料としたソリューションの開発を進めてきました。

昨年末には、同じスイス企業のミグロ、ジボダンと共同で、細胞培養食品のスケールアップと市場化を支援する新施設「The Cultured Hub」を立ち上げ。米国でも、ベゾス・アース・ファンド(Bezos Earth Fund)がノースカロライナ州立大学に設置した代替プロテインセンターと提携しています。

同社CTO(最高技術責任者)を務めるIan Robertsは、「世界のフードチェーンは、増え続ける人口を持続可能な形で養うという大きな課題に直面している。タンパク質を生産し消費する方法は変化を続けており、そのためにはシステムの転換が必要だ」とコメントしています。

省資源化で生産性を700%向上


2022年、細胞農業企業Pluriとイスラエル最大の食品会社Tnuvaの合弁会社として設立されたEver After Foodsは、培養肉・シーフードの商品化にあたりPluriの技術と知的財産を使用する独占ライセンス権を付与されています。

翌年には、特許取得済みのバイオリアクターを用いる生産プラットフォームを発表。当時、この技術はほかのプラットフォームよりも少ない資源しか使わず、生産性を700%向上させると謳っていました。

昨年6月、同社は培養肉メーカーにとっての技術イネーブラーとなるべく1,000万ドル(約14億9,000万円)の調達を実施。目下、培養肉企業や食品業界のリーダーと緊密に協力し、独自の食用充填床(EPB)技術を用いたプラットフォームの開発と展開を加速させています。

CEOのRosenthalは、「培養肉業界は、製薬ベースの技術に依存するのではなく、食品生産用に特別に設計されたソリューションを採用する必要がある。Bühler Groupとの戦略的提携は、製品を市場に投入したい各メーカーに、拡張性のある効率的な技術を提供するための重要な一歩だ」と語っています。

参考記事:
Ever After Foods and Bühler Partner to Launch Commercial-Scale Cultivated Meat Production System
Bühler & Israeli Cultivated Meat Co Joins Forces To Solve Industry Bioreactor Problem
Alternative Proteins | Bühler Group

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