仏ダノンが植物由来の子供用栄養製品メーカー、Kate Farmsの買収で合意

フランスの乳製品大手ダノンが、米国を拠点に植物由来のオーガニック栄養製品を製造するKate Farmsの株式の過半数を取得することで合意したと発表しました。
規制当局の承認を待って統合へ
ダノングループの副CEOを務めるShane Grantは、買収の戦略的な意図について「Kate Farmsは当社の専門である栄養製品と相補的であり、より多くの消費者や患者にリーチし、多様な健康ニーズを持つ人々に高品質の新たな標準治療を提供できる」と説明しました。
具体的な買収額などの条件は明らかにされておらず、実行には規制当局の承認が必要。買収にあたり、Kate Farmsの経営陣は同社の少数株を保持し、CEOのBrett Matthewsは、ダノンの北米医療栄養部門の会長兼CEOに就任する予定です。
1942年から米国に進出しているダノンは、米国で13以上の製造施設と研究拠点を持ち、5千人を超える従業員を擁しています。
既存ポートフォリオには、Activia(日本での販売名はダノン ビオ)、植物性ヨーグルトなどを展開するSilk、ミネラルウォーターのEvianなど。
この買収により、日常食や経管栄養用に作られたKate Farmsの製品が統合され、ダノンが強みとしてきた栄養製品のポートフォリオがさらに強化される見込みです。
医療と日常食、両方の栄養ニーズに応える

2012年、Richard LaverとMichelle Laverの夫妻が米国・カリフォルニア州に設立したKate Farmsは、夫妻の脳性麻痺を患う娘に既存の経管栄養の粉ミルクが合わなかったことを契機に、植物由来のオーガニック原料を使用して、主要な9種類のアレルゲンを含まない製品を開発しました。
現在では、エンドウ豆タンパク質をベースにした栄養シェイク、経管栄養に対応した小児用混合食(写真)、ブドウ糖補給や腎機能をサポートするシェイクなど、医療と一般消費者の両方の栄養ニーズに応える製品を製造し、全米の病院や消費者に直接販売しています。
同社はこれまで、製薬大手ノボ・ノルディスクの親会社Novo Holdingsが主導した7,500万ドル(約110億円)のシリーズCラウンドを含め、数回のラウンドで1億8,800万ドル(約277億円)の資金を調達。
今年3月には、全米のスーパーTargetの店舗で子供向けの栄養シェイクを発売し、小売り展開を初めて全国規模にまで拡大させたところでした。今回の買収は、さらなるリーチ拡大にも貢献すると期待されています。
参考記事:
Kate Farms | Plant-Based Tube Feeding Formulas & Shakes
Danone Acquires Majority Stake in Plant-Based Formula Company Kate Farms
Danone plans to acquire U.S. plant-based organic formula maker Kate Farms | Reuters
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