Nourish Ingredientsが米国で精密発酵脂肪の販売認可を取得、パートナー企業と組んで製品化へ

オーストラリアのNourish Ingredientsが、精密発酵により作られる独自の代替脂肪について、米国で食品用の香料として使用するための安全性認可を受けたと発表しました。

米国で「Tastilux」の販売が可能に


Nourish Ingredientsは、独自に開発した糸状菌Mortierella alpina)のバイオマスについて、米国食品香料製造者協会(FEMA)から「FEMA GRAS」ステータスを取得。

FEMAは独立した専門家パネルで食品用の香料に特化した安全性評価を行っており、一般消費者向けの厳しい安全基準を満たしていると評価されFEMA GRASとされた物質は、自動的に香料として使用できる旨を米国食品医薬品局(FDA)が了承しています。

申請書類の作成は人手を要する大変な作業だったものの、申請を提出したのは今年4月とのこと。この決定により、同社の主要製品である「Tastilux」の米国での販売が可能になりました。

同社はすでにグローバル市場を見据え、アジア、オセアニア、中東といった各地域でパートナー候補の企業と提携に向けた交渉を進めています。

創業者でCEOを務めるJames Petrieは、「すでに米国企業を含む主要パートナーと原料の使用を試しており、今回のFEMA GRASステータスにより、Tastiluxをできる限り早く米国市場に投入できるようになるだろう」とコメントしました。

商業生産を成功させ、複数の市場で認可を狙う


「Tastilux」は、精密発酵によって作られるアニマルフリーの代替脂肪で、調理時に香ばしい風味を生み出すメイラード反応を促進することで、従来の肉の味や香り、調理体験を再現するよう設計された原料。

植物性タンパク質に配合すれば嗜好性と購買意欲を高められ、消費者により広く受け入れられるのを妨げてきた長年の課題の解決に焦点を当てています。

今年4月に、発酵生産を手掛ける中国企業CABIO Biotechとの提携で商業生産の規模に到達し、17万トンの最終製品需要を満たすのに十分な量の生産を完了しました。わずか1%と低い含有率でも十分な機能性を発揮するといい、高効率で低コストの生産が可能となっています。

同社はB2B市場に重点を置いていますが、今回承認を得たことで、近い将来、消費者向け製品が店頭に並ぶ見込み。また、シンガポールでも外部の専門家のサポートを受けながら申請に取り組んでおり、オーストラリア、英国、EUも視野に入れています。

参考記事:
Nourish Ingredients unlocks US market for Tastilux® | Medium
Nourish Ingredients Receives GRAS Approval for Plant-Based Fat, Enabling US Commercial Launch
Nourish Ingredients Cleared to Sell Animal-Free Meat Fat in the US

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