Mission Barnsが培養豚肉の小売り販売を実施、米国では初の事例に

米国・カリフォルニア州のスタートアップ企業Mission Barnsが、米国で初の出来事となる培養肉の小売り販売を発表。本日11月1日、同州のBerkeley Bowl Westで行われるイベント「Bites from the Barn」で、一般の消費者が培養豚肉のミートボールを購入できます。

一般顧客向けに全4回のイベントを計画


Mission Barnsは今年、ブタの細胞を培養して生産した脂肪について、米国食品医薬品局(FDA)米国農務省(USDA)の両方から承認を取得。培養脂肪の販売を認められた世界初の事例を作り、第3四半期にも展開を始める計画でした。

初の製品は、カリフォルニア州バークレーの独立系食料品店「Berkeley Bowl West」で11月1日に販売。冷凍のミートボールが8個入った304gのパックで、価格は13.99ドル(約2,150円)。数量限定のため、1人1パックまでとの制限がかけられています。

同社は9月に、サンフランシスコ・ベイエリアのレストランFiorella Sunsetで培養ミートボールとベーコンのディナー提供を実施していました。

Berkeley Bowl Westでは今後4カ月にわたって全4回のイベントが計画されており、店内で一般顧客向けに調理のデモンストレーションや試食が行われる予定。初回の本日のみ、合わせて製品が限定販売されます。

同社はタフツ大学細胞農業センター(TUCCA)の研究チームと共同で、これらの試食イベントを通じてフィードバックと消費者の動向を収集し、今後の研究設計と社会的受容度を測る評価枠組みの構築に役立てる取り組みを進めています。

シンガポールに続き2例目の小売り展開に


Mission Barnsの培養脂肪「Mission Fat」は、アメリカンヨークシャー種の豚の腹部から脂肪細胞を採取して、バイオリアクターで培養したもの。

エンドウ豆タンパク質やココナッツオイルといった植物由来の原料と混合してミートボール、ベーコン、ソーセージ、サラミなどに加工しますが、脂肪は食品において主要な風味の担体となるため、ごく少量でも従来の肉を再現するのに十分な効果を発揮します。

Berkeley Bowlの精肉部門バイヤーを統括するAnthony LeBlancは、「長年Mission Barnsとの協業を楽しみにしてきた。同社の培養豚脂肪を使用したミートボールは、従来品と同等の風味と食感を維持しながら、肉好きやフレキシタリアンの消費者に代替の選択肢を提供するものだ」とコメント。

「Berkeley Bowlは長きにわたって革新的な食品ブランドの出発点となってきており、培養豚肉を米国の小売店で初めて提供できることを誇りに思う」としています。

Mission Barnsの製品は、大手小売りチェーンのSprouts Farmers Marketにも採用が決定し、こちらも発売に向けた協議を継続中とのこと。

今回の製品化は、世界的に見ても培養肉製品が小売店で入手可能となった2つ目の事例となりました。最初の事例は昨年、同じくカリフォルニア州の企業GOOD Meatが、シンガポールの精肉店Huber’s Butcheryで培養鶏肉を発売し、現在も販売を続けています。

米国内で現在入手できるその他の培養食品としては、Wildtypeの培養サーモンがオレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州のレストランで提供されており、今後の小売り展開も視野に入れている様子です。

参考記事:
Mission Barns | LinkedIn
Mission Barns’ Cultivated Pork to Make Supermarket Debut at Berkeley Bowl
Bay Area grocery store is first to sell cell-cultivated meat in US – Fast Company
Mission Barns brings cultivated pork to US retail shelves for the first time at Berkeley Bowl | PPTI News

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