Remilkの精密発酵ミルクがイスラエルでついに市場化、Gad Dairiesとの共同で「The New Milk」を発売

アニマルフリーの乳タンパク質を生産するイスラエルの企業Remilkが、同国を代表する乳製品ブランドのGad Dairiesと共同で「The New Milk」を発売しました。

イスラエルでは今年、同種のタンパク質を生産するImagindairyが、Strauss Groupと提携して製品の小売り展開をスタートすると報じられており、精密発酵食品の発売としては2例目となります。

ユダヤ教の食品規定に準拠するニーズに対応


この製品は、動物が一切関与しない独自の精密発酵プロセスで生産され、従来の牛乳の味や栄養価から、泡立ちやすさ、コーヒーに入れた際の安定性まで、牛乳のあらゆる特性を再現したもの。

外食産業向けにバリスタミルク、小売り向けにプレーンとバニラ風味という計3種類のバリエーションがあり、いずれも乳糖やコレステロールを含まず、ビタミンとカルシウムを強化し、糖分は従来の牛乳と比べて75%削減しています。

さらにコーシャおよびパレーブ*(肉や乳製品の成分を含まない食品)の規定にも準拠し、ユダヤ教の規律に従う人々のニーズにも応えます。

イスラエル国内のカフェやレストランで提供が始まり、価格は750mLボトル1本で15シェケル(約720円)。来月には小売りチェーンでの展開も計画されており、今後数カ月で追加の製品を発売する予定です。

* ユダヤ教では聖書の戒律に基づき、肉と乳製品を同時に調理・摂取してはならない規定がある。例えば肉料理を食べた後にコーヒーを飲む場合、コーヒーに入れるミルクはパレーブ食品の認定を受けたものを選ぶ必要がある。RemilkとGad Dairiesが実施した消費者調査では、回答者の66%がこれを実践しており、そのうち半数は、上記のような場合に従来の牛乳と同じ味わいのパレーブミルクがあれば飲むと回答している。

4カ国で販売認可を取得済み


Remilkは2019年に、Aviv WolffOri Cohaviによって設立されました。精密発酵乳タンパク質(β-ラクトグロブリン)にシアバター、ココナッツオイル、砂糖、pH調整剤、香料、安定剤、塩、乳化剤を配合し、カルシウム、ビタミンD・E、食物繊維を強化して代替ミルクを製造しています。

このプロセスでは、従来の牛乳生産に比べて温室効果ガス排出量を最大97%削減できるほか、必要な土地面積を99%、水使用量を90%以上削減可能。

β-ラクトグロブリンの販売許可を取得したのは2年前で、時間はかかったものの、ようやく国内での商業化にこぎ着けました。そのほか、シンガポール、米国、カナダでも規制当局からの承認を得て、販売が認められています。

イスラエル第4位の乳製品メーカーであるGad Dairiesもこの協業に期待を寄せており、CEOのAmir Aharonは、これを両社だけでなく乳業界にとっての歴史的な瞬間と位置付け。

「味を損なうことなく、最高品質、持続可能性、イノベーションを融合させられると証明した新製品の発売は、乳製品カテゴリーにとって決定的な出来事だ」とコメントしています。

参考記事:
Remilk | LinkedIn
Lab-made milk set to start pouring into Israeli dairy aisles, cafes | The Times of Israel
Remilk and Gad Dairies Launch “The New Milk” Made with Dairy-Identical Proteins
‘New Milk’ signals new phase for recombinant dairy, says Remilk: ‘It doesn’t look like another alternative product’

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