デンマークのEvodiaBioが約11.8億円を調達、ホップの香りを模倣した成分でノンアルコールビールを革新

デンマーク発のスタートアップ企業EvodiaBioが、EIFOやThe March Groupを含む国内および海外の投資ファンドから700万ユーロ(約11億8,000万円)の調達を行ったと発表しました。

酵母の発酵を活用して、飲食業界向けの天然香料や調味料を生産。新たな資本により、ホップの香りを再現した「Yops」をノンアルコールビール向けに商品化する計画です。

精密発酵による持続可能な香料生産


EvodiaBioは、有害な触媒や溶媒(化学合成)に依存する石油化学から生まれた香料の代替品を創出するため、Victor Forman(CTO)、Simon Dusséaux(CSO)、Sotirios Kampranis(研究開発責任者)、Jarne Elleholm(会長)により2021年に設立されました。

同社は、遺伝子組み換えした酵母に有用物質を生産させる最先端の精密発酵技術を用いて、製品を生産。

ビール醸造に欠かせないホップの香りを模倣した「Yops」は、天然資源の利用とCO₂排出を削減しながら、ノンアルコールビールの風味を高められることに加え、通常のビール製造におけるホップの一部を代替することも可能です。

ビールの官能評価で欧州トップクラスと評されるNIRASが市販のノンアルコールビールでテストを行ったところ、Yopsを添加することでビールの品質が著しく向上したとのこと。

ホップの風味が明らかに増強された一方で、穀物由来のオフフレーバーが減少したと報告されています。

醸造家からの強い関心を集める


EvodiaBioは、ビールの特徴的な風味を生み出す豊かな香りを持ったホップは、気候変動という重大な脅威に直面していると指摘。近年ホップの生産量は減少し、品質の低下も目立っているといいます。

同社は2022年12月、Nordic Foodtech VC、ドイツの香料会社Symrise、Pauligのベンチャー部門PINCなどを含む国際的な投資家コンソーシアムの支援を受け、計640万ユーロ(約10億8,000万円)の調達を実施。

さらに、グリーン転換に取り組む企業を支援する政府保有の投資ファンド、Danish BioInnovation Instituteから200万ユーロ(約3億3,700万円)のアーリーステージ資金を確保しました。

「Yops」については、すでにビール醸造を手掛ける企業からの強い関心が寄せられているといい、ノンアルコールビール以外の飲料などにも広がりを見せているとのこと。

EvodiaBioは長期的な目標として、複数の飲料・食品の風味を向上させ、食品業界にとどまらず持続可能な香料開発の世界的リーダーになることを掲げています。

参考記事:
EvodiaBio ウェブサイト
Copenhagen-based EvodiaBio secures €7 million aiming to revolutionise the market for sustainable aroma | EU-Startups
EvodiaBio Raises €7M to Revolutionize Non-Alcoholic Beer with ‘Yops’, the Aroma of Hops

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