世界最大の乳業メーカーLactalis、カナダで植物性ミルクの新ブランドを立ち上げ

世界最大の乳業メーカーである仏Lactalis(ラクタリス)の子会社であり、20の消費者向けブランドを保有するLactalis Canadaが、植物由来の新ブランド「Enjoy!」を立ち上げました。

新ブランドをカナダ全土に展開


2023年に314億ドル(約4兆9,300億円)を売り上げたLactalisのアニマルフリー乳製品分野における新たな動きは、業界全体にとっても重要な出来事となります。

「Enjoy!」ブランドは同社がすでに保有する「Sensational Soy」、「Lactantia」、「siggi’s」などの代替乳製品ブランドに加わり、カナダ全土の主要小売店で展開がスタートしました。

250mLあたり8gのエンドウ豆タンパク質を含んだ無糖の植物性飲料がラインアップされ、オーツ麦、オーツ麦バニラ、アーモンド、アーモンドバニラ、ヘーゼルナッツ、ヘーゼルナッツ&オーツ麦の6つのSKUを揃えています。

新設された同ブランドのウェブサイトによると、この飲料は製品自体のGMOフリーグルテンフリーの認証に加えて、持続可能な林業イニシアティブ(SFI)の認証を受けた紙ベースのパッケージを採用。

また、国際的な環境保全のプロジェクト「1% for the Planet」にも参画しており、年間収益の1%以上が環境保護活動に充てられます。

企業全体の気候変動対策の一手に


食肉と乳製品は気候変動と環境破壊の最大の要因の一つとなっていることを考えると、植物由来の新ブランド立ち上げは、Lactalisの気候変動に関する目標達成に寄与するものといえるでしょう。

世界有数の乳製品企業として同社のカーボンフットプリントは大きく、2019年にはScope 1およびScope 2の排出量だけで280万トンに上りましたが、これらは事業全体のフットプリントの5%に過ぎず、残りの95%Scope 3の排出* によるものでした。

Lactalisは、2019年を基準としたScope 1およびScope 2の排出量を、2033年までに半減させる計画。しかしScope 3の排出量については具体的な戦略を打ち出しておらず、代わりに2050年までに事業全体でネットゼロを達成することを約束しています。

「Enjoy!」ブランド発表の数日前に発行された2023年版ESGレポートによると、Scope 1およびScope 2の排出強度を11.2%削減し、道路輸送への依存を減らすことで絶対排出量を14,000トン削減できたとのこと。

また、2023年にはパッケージの84%がリサイクル可能なものとなっていましたが、この比率を今年中に90%まで高めることが目標とされています。

* 自社の直接的な排出をScope 1、間接的な排出をScope 2、それ以外のサプライチェーンにおけるすべての排出をScope 3と呼ぶ。

カナダの植物性ミルク市場


Lactalis Canadaは、オンタリオ州に構える33,150平方フィート(約3,080平方メートル)の生産施設を改造し、植物由来製品の専用工場として本格稼働を開始しました。

カナダの植物性ミルク市場は、2019〜23年にかけてほぼ倍増し、昨年の売上高は3億4,600万ドル(約543億円)でした。今後5年間は毎年9%ずつ拡大し、2028年には5億3,160万ドル(約834億円)に達すると予測されています。

2022年時点で、アニマルフリーのミルクは同国の牛乳市場の総売上のうち10%を占め、継続的に購入している世帯は42%に上っていました。

これらの数字は、Lactalisが植物性乳製品への取り組みを強化する大きな動機になった様子。昨年はカナダでも代替乳製品の売上高が前年比7%減となる後退が見られたものの、同社としては業界が今後成長を取り戻すということに自信を持って投資を行っています。

参考記事:
Lactalis Canada Launches Enjoy! – A New Plant-Based Brand for Canadians – Lactalis Canada
The World’s Leading Dairy Company Launches a Plant-Based Brand Called ‘Enjoy!’
The World’s Largest Dairy Company Just Launched A Plant-Based Milk Brand
Lactalis launches plant-based drink line in Canada

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