Superbrewed Foodとフォンテラが提携を発表、細菌バイオマスタンパク質の技術開発を進める

米国のバイオマス発酵スタートアップSuperbrewed Foodが、世界的な酪農業協同組合であるフォンテラとの複数年にわたる共同開発契約を締結したと発表しました。

特許取得済みのポストバイオティクスタンパク質


Superbrewed Foodの「Postbiotic Cultured Protein」とは、GMOフリーかつアレルゲンフリーで、米国食品医薬品局(FDA)の認可も取得している細菌バイオマスタンパク質。

フォンテラは本契約に基づき、このタンパク質原料が自社のポートフォリオをどのように補完するかを評価。持続可能な乳製品へのニーズの高まりに対応し、精密発酵原料や植物由来原料を用いた代替乳製品への活用を模索します。

また、従来の乳製品加工の副産物である乳糖パーミエイトを微生物タンパク質の原料として使用し、循環型ソリューションを構築することも検討しているとのこと。

9千戸の酪農家を抱えるフォンテラの事業とのシナジーを得て、同時に環境フットプリントの削減にもつなげる狙いです。

幅広い動物性・植物性タンパク質を代替


2021年3月にステルス状態から脱却したSuperbrewed Foodは、ゴリラやゾウなどの草食動物の腸内細菌叢からヒントを得て、嫌気性発酵(酸素のない環境で行われる発酵)によりタンパク質を生産できる微生物を探索。

その結果、ニュートラルな味、最小限の色、優れたpHと温度安定性、機能性を兼ね備えたクロストリジウム・チロブチリカムClostridium tyrobutyricum)に落ち着きました。

同社のPostbiotic Cultured Proteinは、タンパク質分離物ではなく、タンパク質を85%以上含んだ細菌そのもののバイオマス

必須アミノ酸、鉄、亜鉛、リン、ビタミンB12を豊富に含んでおり、非常に多様な食品・飲料用途において、動物性・植物性タンパク質の代替または補完として機能します。

業界内で積極的なパートナーシップ構築の動き


Superbrewed Foodは細菌バイオマスタンパク質の活用を模索し、2022年にBel Groupとの戦略的パートナーシップを締結。Bel Groupは、このタンパク質原料を用いて動物性・植物性両方のチーズを開発する意向を表明していました。

今年2月には、天然成分の大手サプライヤーDöhlerとの提携を実施。Döhlerは、細菌バイオマスタンパク質の生産に不可欠な発酵能力を提供します。

さらなる生産能力拡大のため今年シリーズBラウンドの調達完了を目指しており、リードインベスターとしてTO VCを確保しています。

一方のフォンテラは、2022年にDSM-Firmenich Venturingとの合弁で精密発酵スタートアップViviciを設立。アニマルフリーの乳タンパク質でGRAS自己認証を取得し、B2B供給を開始しました。

また、オーストラリアの精密発酵企業Nourish Ingredientsと代替脂肪「Creamilux」の活用で提携するなど、代替プロテイン分野への取り組みを強化しています。

参考記事:
Exclusive: Fonterra and Superbrewed Food collaborate to advance postbiotic protein tech
Doubling Down on Animal-Free Dairy, Fonterra Looks to Advance Superbrewed Food’s Postbiotic Cultured Protein
Superbrewed Food’s Strategic Partnership with Dairy Group Fonterra Explores Uses of Biomass Protein

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。