代替肉大手のBeyond Meat、菌糸体を使用したホールカットステーキを米国のレストランで初披露

米国の植物性代替肉大手Beyond Meatが、ニューヨークのレストランLadybird、およびBOA Steakhouseの全4店舗で菌糸体ステーキを発売しました。

味と食感を改良した新製品を外食市場に展開


Beyond Meatが新しく発売した「Beyond Steak Filet」は、菌糸体をベースにしたホールカットの代替肉で、肉汁が滴るところまで本物の牛肉を再現し、高級ステーキを思わせる柔らかくジューシーな噛み応えが特徴とされています。

代替肉の味と食感にまだ納得していない消費者を引きつけるべく、植物を超えて菌類に目を向け、新製品として誕生させました。

原料には菌糸体のほかに、栄養価を高める改良として昨年から採用しているソラマメタンパク質とアボカドオイルを使用。1食あたり28gのタンパク質を含んでいます。

ヴィーガン向けレストランのLadybirdでは菌糸体ステーキをバオバンで包んだ、野菜を中心とした料理が提供される一方、ノンヴィーガンをターゲットとするBeyond Meatのアプローチに沿って、従来型のステーキチェーンBOA Steakhouseでも展開される運びとなりました。

同店のシェフBrendan Collinsは、「Beyond Steak Filetをメニューに加えることで、品質やクリエイティビティに妥協せず、より多くの人々にホスピタリティを提供できるようになった」とコメントしています。

Beyond MeatのDiana Stavaridisによると、「アボカドオイルの高い発煙点は美しい焼き目の実現やキャラメリゼに最適で、風味と食感を閉じ込められる」といい、これにより「妥協なく伝統的なステーキハウス体験を提供できる」とのこと。

現状、製品の小売り発売については発表されていませんが、今後の展開が期待されます。

菌糸体で新たな収益源創出を狙う


Beyond MeatのCEOを務めるEthan Brownは、チキンやサラダのトッピング、ブリトーの具に代わるものとして、昨年9月にこの新たなステーキ肉を発表。

開発の上では原材料の少なさ、タンパク質含有量の多さ、飽和脂肪酸の少なさに重きを置いたといい、今年初めに開催された展示会「Natural Products Expo West」で初披露した際には、「口当たり、食感、風味のすべてが完璧」と海外メディアからも高い評価を受けていました。

米国では健康を主な理由に植物性食品を食べる人が増えている一方、昨年の調査では3人に1人(32%)が、味が気に入らないという理由で購入を減らしたと回答。

レストランでも、半数を超える消費者(54%)が、味を理由に植物性代替肉を使ったメイン料理は選ばないと答え、42%が食感に不満があるとしています。

パッケージや商品開発、ドキュメンタリー番組などを通じて健康メッセージの発信を強化しているBeyond Meatですが、2025年第1四半期の売り上げは9%減となり、新たに1億ドル(約148億円)の融資契約を結んでいます。

植物性食品全体への投資が落ち込む中、代替プロテイン業界で唯一好調な状態にあるのが発酵スタートアップ。中でも菌糸体は、環境負荷が非常に低く、肉の風味や食感に合わせることができる完全タンパク質として注目度が高まっており、状況を好転させるべくこの採用に踏み切りました。

参考記事:
Beyond Meat Debuts Whole-Cut Mycelium Steak Filet at US Restaurants
Beyond Steak At BOA And Friends At The Benjamin – Here’s What’s Popping Up – LA Weekly

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。