NovellaとMetaphor Foodsが提携を実施、植物細胞を培養した天然保存料の商品化へ

イスラエルのバイオテクノロジー企業Novella Innovative Technology(以下、Novella)が、機能性素材を手掛けるオーストラリアのMetaphor Foodsとの提携を発表しました。
培養した植物細胞を利用した、クリーンラベルの天然保存料を商品化する計画です。
天然の酸化防止剤の制約を克服
Novellaは、精密に制御した環境下で植物細胞から純粋な化合物を作り出す「AuraCell」プラットフォームを保有。廃棄物ゼロの生物活性化合物の生成における一貫性を保ち、資源使用量を99%削減するとしています。
食品原料とプライベートブランド食品大手Helaのイノベーション部門であるMetaphor Foodsとの提携では、この技術を天然の抗菌剤・酸化防止剤の生産に利用。
Metaphor Foodsが展開する自然由来の食品保護ソリューション「Hela Natvance」シリーズの一部として製品化される予定です。
現在使用されている天然の酸化防止剤(ミックストコフェロールやローズマリー抽出物)にはオフフレーバー、効果のばらつき、低い適合性、コストやサプライチェーンといった面で顕著な制約があるとNovellaは指摘。
ラボでの試験において、同社の原料は天然の酸化防止剤を置き換えることができ、同時に全体的なコストの削減と保存期間の30%の延長に成功しました。現在は生産規模を拡大する最終段階に入っており、来年初頭の製品化を目指しています。
米国とアジア太平洋での展開を狙う
Metaphor FoodsのCEOを務めるGeoff Gordonは、「この提携は、自然由来ソリューションの需要が高い市場への長期にわたる戦略的コミットメントだ。Novellaの技術を統合することで、迅速かつ効果的な市場投入を実現したい」とコメントしました。
当初は食肉の保存に重点を置いていますが、同じ技術をシーフードや乳製品、ベーカリー製品、代替プロテイン製品、ペットフードなどに応用する可能性も見据えています。
同社はまた、商業化計画を進める傍ら、規制認可に向けた道筋でもNovellaをサポート。多くの国で植物細胞は、特に抽出されていない状態では新規なものとみなされませんが、例えばEUではすべての植物細胞製品が「新規食品(Novel Food)」に該当します。
このためNovellaは、まずGRAS(一般に安全と認められる物質)ステータスを取得して米国で上市し、次いでオーストラリアをはじめとしたアジア太平洋市場での展開を計画。
ラベル表示も地域によって異なり、培養細胞である旨の表示が求められる市場もあれば、植物名だけで十分な市場もあるといいます。
参考記事:
Novella, Metaphor Foods unite to commercialise cell-based natural preservatives
Could plant cell culture pave the way for the next generation of antioxidants and antimicrobials?
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