フランスの培養肉企業PARIMAが、シンガポールで培養鶏肉の販売認可を取得

フランスの培養肉企業PARIMAが、シンガポール食品庁(SFA)から培養鶏肉の販売認可を取得したと発表しました。培養肉の販売が認められたのは、欧州連合(EU)の企業としては初の事例となります。
世界各国で申請手続きが進行中
これまでに培養肉の販売が認められている国・地域は、シンガポールのほかに米国、イスラエル、香港、オーストラリア・ニュージーランド、そして英国(ペットフード用途に限定)。PARIMAはヒトの食用としての認可を取得した、初の欧州企業となりました。
同社はつい先日、培養フォアグラ(アヒルの肝臓)を手掛けるGourmeyが、培養鶏肉を開発するVital Meatを買収したことに伴い、新たに設立された企業。規制対応に係る技術やノウハウに加えて、両社がフランス国内に有する生産能力についても統合すると発表していました。
今回認可を受けたのは培養鶏肉の方で、Vital Meatが開発した技術に基づくもの。同社は2023年末にSFAへの申請を済ませており、その提出書類が審査された結果となっています。
PARIMAはこのほか、欧州、アジア、北米で計8件の申請を並行して進めている最中。Gourmeyの時代には、EUで培養肉の新規食品申請を行った初の企業となり、直近ではオーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)にも申請を提出しています。
2種の動物(鶏とアヒル)について認可が得られれば、培養食品分野において世界初の事例となる見込み。市場化においては、品質と差別化が最も重要なプレミアム(高価格)市場から始め、規模拡大に伴い段階的にマス市場へとアクセスを広げていく狙いです。
培養細胞の含有率を高めたハイブリッド肉開発へ
PARIMAはSFAとの緊密な連携の下、食品安全、品質、透明性に関する規制要件への適合性を実証。
シンガポールで培養肉が承認されたのは、2020年のGOOD Meat(鶏肉)、2024年のVow(ウズラ肉)、今年7月のFriends & Family(ペットフード用鶏肉)に続く4件目ですが、新規タンパク質の開発・普及に積極的な同国を最初のターゲットに申請を行う企業は多く、今後も複数の認可が期待されます。
今後の製品化計画に関しては明かされていませんが、他企業と同様に、植物由来原料と組み合わせたハイブリッド肉のアプローチを採っているとのこと。
ただし、Vital Meatを創業したEtienne Duthoitは培養細胞の含有率を「意味のある高さ」に設定する計画と強調し、「それこそが味、食感、栄養に対する消費者の期待に応え、第一世代の植物由来製品とは明確に差別化を図る唯一の方法だ。当社の技術には柔軟性もあり、レシピに応じて培養細胞の比率を調整することで、常に最高品質の製品を目指せる」と述べています。
同社はすでに商業的に成功を収める可能性を示しており、今年行われた第三者評価では、現行の生産モデルで価格競争力のある培養肉製品を実現できる段階にあると実証済み。低コストの生産技術を確立し、料理界の主要パートナーや大手企業からの関心を集めています。
参考記事:
Cultivated Chicken by PARIMA Gains Regulatory Approval From the Singapore Food Agency
Exclusive: Parima Earns Singapore Approval for Cultivated Chicken After Vital Meat Merger
PARIMA secures Singapore approval for cultivated chicken, becoming Europe’s first company cleared to market cultivated meat | PPTI News


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