細胞培養カカオを開発する米California Cultured、チョコレートの原料供給を行うピュラトスからの戦略的投資を獲得
ベルギー企業ピュラトスグループ傘下のフードテック専門ベンチャーキャピタルSparkalisが、植物細胞の培養によりカカオを生産する米California Culturedへの戦略的投資を行ったと発表しました(投資額は非公開)。
現在建設を進めている新工場での生産拡大と、培養カカオパウダー製品の市場投入を促進します。
4年で約24億円を調達、明治から2度の出資も
このパートナーシップは、環境面・倫理面での問題から価格の高騰やサプライチェーンの不安定化を引き起こしているカカオ豆の、持続可能な生産を確立することを目指したもの。
カカオ細胞を人工的に培養することで大量生産を達成し、従来のカカオと競争力のある価格を実現することを目的としています。
Alan Perlstein(CEO)と植物細胞培養の専門家Harrison Yoonが2020年に創業したCalifornia Culturedは、細胞農業界の企業に数多く投資を行うCULT Food ScienceやAgronomicsから、総額1,590万ドル(約23億7,000万円)の資金を調達。
2021年に初めて出資を行った、日本でチョコレート最大手の明治ホールディングスとは、今年2度目の出資を受けるとともに新たな契約を締結しました。この10年間にわたる契約により明治は、消費者向け製品の原料に培養カカオパウダーを導入することを目指しています。
California Culturedによると、培養カカオの生産プロセスは、最適な風味プロファイルを持ったカカオの品種を選別するところからスタート。少量の細胞サンプルを抽出したら、天然の植物に由来する栄養素を与え、条件制御されたバイオリアクターの中で成長を促します。
カカオ細胞は3〜4日で十分に成熟し、従来のカカオ栽培に比べてはるかに早く収穫が可能。収穫されたカカオ細胞は発酵、乾燥、焙煎を経て、濃厚で深みのある味わいのチョコレートになります。
フードテック分野への関与を深める老舗企業
100カ国以上で製パン、製菓、チョコレートの原料供給を行うピュラトスは、1919年創業の歴史ある企業でありながら、新興のフードテック分野にも投資や提携を通じて積極的に進出しています。
米国企業のShiruとは次世代の代替卵の共同開発に着手。昨年には、精密発酵によりハチミツやカゼインを生産するオランダのFooditive Groupの少数株式を取得しています。
Sparkalisの代表を務めるFilip Arnautは、「California Culturedのような、食品業界に変革をもたらすソリューションを創造する先見性のあるスタートアップ企業を求めていた。同社のカカオ生産に対する革新的なアプローチは、より健康的で持続可能な未来をつくるという当社の使命と完全に合致したものだ」とコメントしています。
参考記事:
Chocolate Giant Puratos Makes Strategic Investment in California Cultured’s Cell-Based Cacao
Sparkalis Invests in plant cell culture startup California Cultured to futureproof cocoa supply chain
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