Steakholder Foodsの手掛ける植物由来の3Dプリント代替魚、イスラエルの小売店にデビュー

3Dプリンティング技術による代替プロテイン製品の生産を専門とするイスラエルのSteakholder Foodsが、植物由来の原料を用いた白身魚のケバブとサーモンパティを国内の小売市場に初めて投入しました。

製品サイクル全体から初の収益源を確保


2種類の新製品は「Atid Yarok」(Green Futureの意味)ブランドの下、全国の主要なヴィーガン専門店で販売が始まりました。

原料には米タンパク質と大豆タンパク質をベースに、精製ココナッツオイル、メチルセルロース、調味料、香料、大豆タンパク質加水分解物を使用。

100gあたり6gの脂肪(うち3gは飽和脂肪酸)と7.7gのタンパク質を含みますが、従来の魚とは異なりコレステロールは含んでいません。180g入りで価格は21.9シェケル(約970円)となっています。

製造を手掛けるのは、ミートフリー製品を専門とするBondor Foodsプレミックスの供給を行うSteakholder Foodsにとっては、消費者への販売を含めて製品サイクル全体からの収益源を得られる初の機会となります。

同社がBondor Foodsから初回発注を受けたのは昨年9月で、その後パイロットスケールの試験生産に続いて、商業生産への拡大に成功しました。

Steakholder FoodsのCEOを務めるArik Kaufmanは、「受賞歴のあるプレミックスをベースにした最初の製品が市場で販売されるというのは、当社にとって大きな前進だ。B2Bの顧客やパートナーが、魅力的でスケーラブルな次世代の代替シーフードを消費者にいかに上手く展開できるかを実証するものとなるだろう」と語っています。

3Dプリントによる代替シーフード生産の進展


2019年に設立されたSteakholder Foodsは、ビーフステーキ、白身魚、エビ、サーモン、ウナギを含む植物由来および培養タンパク質用の3Dプリンターとプレミックスブレンドを製造しています。

同社がシーフード用に開発した「DropJet」技術は、ゲル状の材料を滴下して立体的な構造を作り出し、代替魚製品に必要な原料の種類を大幅に削減することが可能です。

2023年には、精密な積層技術とユニークな素材の組み合わせを用いた、業界初の3Dプリントによる植物性ウナギを発表。その1カ月後、自社開発したインクを使用した植物性エビのプロトタイプを披露しました。

昨年には、シンガポールのUmami Bioworksと共同で、培養魚をスケーラブルに3Dプリント生産する可能性を探った2年間の研究開発プロジェクトが完了。両社は現在、シンガポールのNational Additive Manufacturing Innovation Clusterと協力して、ハイブリッド製品の商業化を目指しています。

さらに、アジア進出に向けても大きな一歩を踏み出し、「MX200」3Dプリンターと植物由来のプレミックスを台湾の食品企業Vegefarmに売却することで合意しています。

参考記事:
Steakholder Foods’s 3D-Printed Plant-Based Seafood Makes Retail Debut in Israel
Steakholder Foods launches plant-based fish products in Israeli retail market | The Plant Base

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