微細藻類由来のオメガ3脂肪酸を開発するカナダのMara Renewablesが約13.5億円を調達

藻類ベースの栄養ソリューションを開発するカナダ企業のMara Renewablesが、米国のマルチステージ投資会社S2G Investments(旧称:S2G Ventures)から910万ドル(約13億5,000万円)の資金を獲得したと発表しました。

日本の水産大手とも供給契約を締結


Mara Renewablesはこの資金で、持続可能なオメガ3脂肪酸の生産プラットフォームを拡大し、世界の栄養サプライチェーンにおける重大な需給ギャップに対処する計画です。

同社は、制御された環境下で微細藻類を効率的に成長させ、従来のオメガ3サプリメントの、魚を使わない代替品を開発。

子会社のAlgarithmHumanativを通じて販売を行い、昨年6月には代替プロテインへの関与を深めるマルハニチロ株式会社とも藻由来DHAの供給契約を締結しています。

報告によると昨年には、カタクチイワシ約67億匹分にあたる量の藻由来DHA(オメガ3脂肪酸の一種)を市場に送り出しました。

同社の製品は健康効果が科学的に証明されているといい、乳児用粉ミルク、栄養補助食品、機能性食品、動物用の健康製品といった幅広い用途で利用されています。

海洋生態系の維持と安定供給を両立するソリューションに


Mara Renewablesは今後、戦略的パートナーシップを通じて世界中で生産能力を強化する計画。オメガ3を日常生活の一部とするべく、手軽に栄養を補給できるヒト向けの製品を開発する顧客をサポートしながら、主要な市場で提携を深めていきたいとしています。

同社によると、DHAは認知機能、視力、心臓血管系の機能、出生前の発達など、健康全般の維持において重要な役割を果たしているものの、人口の大部分(85%)はDHAが不足している状態にあると考えられているとのこと。

天然魚からのDHA供給は必要量に到底届かず、健康志向の消費者からの需要の高まりに十分応えられていませんが、魚が体内に蓄えているDHAは元々、餌としている海洋の微細藻類が作り出したもの。

Mara Renewablesは、これらの藻類を直接育てることで食物連鎖の途中の工程を回避し、海洋生態系の維持と安定した供給とを両立させる狙いです。

代替プロテイン分野で国内外のスタートアップ企業に多数投資を行うS2G InvestmentsのLarsen Mettlerは、「Mara Renewablesはサプライチェーンの根底にある課題を、正確かつ大規模に解決している」と評価。

同社の主な投資先には、培養肉企業のBeliever MeatsAvant Meats、バイオマス発酵を手掛けるMycoTechnology、精密発酵乳タンパク質を開発するNew Culture、ナツメヤシの種などを原料にした代替コーヒーで日本へも進出しているAtomo Coffeeなどが含まれます。

参考記事:
Mara Renewables Secures $9.1M for Fish-Free Omega-3 Made With Precision Fermentation
Mara Renewables secures US$9.1 million from S2G to scale algae-based omega-3 production | PPTI News

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