米・カリフォルニア州、代替プロテイン分野のイノベーション推進を目的とした特別委員会を設置

培養肉関連のスタートアップ企業を多数擁する米国・カリフォルニア州が、代替プロテイン分野のさらなるイノベーション推進を目的とした特別委員会を設置しました。

持続可能な食料システムの推進に投資


米国の一部の州で培養肉の生産・販売を禁止する動きが進んでいる一方、別のいくつかの州は未来の食品産業を加速させるための取り組みを強化しています。

その一つがカリフォルニア州で、先月「代替プロテインのイノベーションに関する特別委員会(Select Committee on Alternative Protein Innovation)」を新設し、持続可能な食料システムにおける州のリーダーシップを強化する方針を表明しました。

この特別委員会の委員長を務めるのは、2022年に同州が代替プロテインの研究に500万ドル(約7億2,000万円)を拠出した際に重要な役割を果たした、民主党議員のAsh Kalra。委員会の目的について、「単に有望な経済分野を拡大するだけにとどまらず、気候変動に対応した食料供給のソリューションに投資し、増加する人口のニーズを満たすこと」と語っています。

米国の議会における特別委員会とは、上院により一定期間だけ設置され、特定の目的のために調査・研究・勧告を行うもの。法案を議会に提出する権限を付与される場合と、されない場合とがあります。

脱炭素化に向けた重要なステップ


カリフォルニア州に新設された特別委員会は、植物ベース、細胞(培養)ベース、発酵ベースの食品を含む、代替プロテイン産業のすべての分野を支援する取り組みに焦点を当てます。

同州は2022年、クライメイト・ニュートラル(気候中立)に向けた世界初という詳細なロードマップを発表し、2030年までに温室効果ガス排出量を48%、2045年までに85%削減する目標を掲げました。また、汚染に関連する医療費を2,000億ドル(約28兆8,000億円)削減するとも約束しています。

さらに、今年中に埋め立て地に搬入される食品の20%を削減し、2030年までにメタン排出量を2013年比で40%削減するという目標も設定。後者の目標については、州のメタン排出量の半分は家畜に由来するため、肉類と乳製品の生産の重点的な削減が核となります。

動物を用いた農業はカリフォルニア州の食品システム全体から排出される温室効果ガスの70%、土地面積の3分の1を占めており、代替プロテインのエコシステム拡大は、脱炭素化に向けた重要なステップです。

多数のスタートアップを擁し、研究の支援にも積極的


カリフォルニア州には植物性食品大手のBeyond MeatImpossible Foodsが拠点を構えているほか、これまでに米国で培養タンパク質の販売が認められている4社(GOOD MeatUPSIDE FoodsMission BarnsWildtype)はすべてカリフォルニアで誕生しており、業界全体をリードしてきました。

研究への支援にも積極的で、上述のとおり3年前にKalraが推進した大規模投資を行い、カリフォルニア大学のバークレー校、デービス校、およびロサンゼルス校に対して研究開発資金を拠出。

昨年には、米国農務省(USDA)などとの共同でデービス校に代替プロテインの統合センター「iCAMP」が開設され、市場投入を加速するための研究を行っています。

近年代替プロテインを推進してきたその他の州には、iFAB Tech Hubに6億8,000万ドル(約980億円)を投入して精密発酵とバイオものづくりの能力強化を目指すイリノイ州や、タフツ大学とその細胞農業センター(TUCCA)を擁し、代替プロテイン業界への投資を約束する経済開発法案を可決したマサチューセッツ州があります。

参考記事:
California Sets Up Special Committee to Drive Alternative Protein Innovation
Assemblymember Kalra Appointed Chair of Newly Established Select Committee on Alternative Protein Innovation | Official Website – Assemblymember Ash Kalra Representing the 25th California Assembly District

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