ヴィーガン・チキンナゲットの米Nowadaysが操業停止、保有する知財の売却を検討
米国のヴィーガン・チキンナゲットのブランド、Nowadaysが操業停止を発表しました。知的財産その他の資産の売却に向けて、協議を進めているとのことです。
人気を博すも、利益率の低さから資本不足に
エンドウ豆のタンパク質をベースにした冷凍ナゲットを2年前に発売したNowadays。昨年、シードラウンドで700万ドル(約9億9,000万円)を調達し、累計調達額を1,000万ドル(約14億1,000万円)近くにまで伸ばしていましたが、今年に入って調達難に陥ったとしています。
冷凍ナゲットは消費者への直販や小売りのチャネルでは好調で、リピート購入率も高かったものの、冷凍食品の流通は利益率が低く、同社のような小規模のスタートアップ企業にとっては困難だった様子。
共同創業者のMax Elderは、「数年にわたってブランド構築とマーケティング戦略を推し進めるだけの資本がなければ、この事業は成り立たない」と語りました。
Nowadaysは、低水分押出成形によりホールカットの植物性チキンを製造する手法などに関する特許を保有。これにより、用いる原材料の少ないクリーンラベル製品を開発しており、知的財産にも相応の価値があるとみられます。
米国の植物性代替肉市場は停滞続く
Nowadaysが拠点とする米国では、植物性代替肉の売上が減少を続けています。Circanaの調査によると、2023年7月2日までの5週間で、植物性代替肉の小売売上高は前年比12.6%減の1億680万ドル(約151億円)、販売点数では同19.8%減となりました。
また、2023年7月2日までの1年間で見ると、売上高で前年比7.3%減、販売点数で同15.6%減となっています。
このような状況の中、植物性食品を扱う多くの企業が苦境に立たされています。米国内でも、6月にPlant & Bean、7月にTattooed Chefが立て続けに破産申請を行いました。
カナダで代替肉とチーズを手掛けたThe Very Good Food Companyも管財人の管理下に置かれ、英国のMeatless Farmも業績悪化を理由に同じ英国のヴィーガン食品ブランド、VFCの傘下入りを決めています。
市場全体では芳しくない状況が続いていますが、Elderは代替肉市場に関しては前向きな見通しを持っており、「長期的には、従来のタンパク質に対する逆風は強くなる一方だと感じている。企業は資本調達にやや苦労しているが、代替プロテインの可能性や必要性については何も変わっていない」と語っています。
他ブランドや、複数の製品を揃える大手に勝てず
植物性代替肉の市場全体が落ち込んでいることに加え、米国のヴィーガン・チキンナゲット市場は参入企業が多く、すでに飽和状態にありました。
Jack&Annie’s、Simulate、The Alpha Nugget、Daring、MorningStar Farms、Yves、Rebellyous、LikeMeat、Bocaなど多数のブランドが存在。
その上、Gardein、Quorn、Beyond Meat、Impossible Foodsといった大手企業も植物性ナゲットを製造しています。これらの企業が、より大きな流通ネットワークとブランド力から利益を得ていることに比べると、Nowadaysのような単一製品で勝負するスタートアップ企業が勝ち残っていくことは難しく、そこに市場の停滞が追い討ちをかけた結果といえるでしょう。
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