米The Live Green Co、精密発酵によるヒト乳脂肪とポストバイオティクス成分の開発を発表

米国の精密発酵企業The Live Green Coが、「GreenTAGs」(OPOと通称されるヒト乳脂肪の代替品)と「GutRevyv」(腸の健康に寄与するポストバイオティクス)という、2つの機能性成分の開発を発表しました。

乳児の栄養を改善するヒト乳脂肪の代替


ヒト乳脂肪に高い濃度で含まれているトリアシルグリセロール(トリグリセリド)の一種であるOPO(1,3-ジオレオイル-2-パルミトイルグリセロール)は、栄養吸収、神経の発達、免疫力向上、腸の健康促進など、乳児の発育と健康において重要な役割を果たします。

酵母の精密発酵により得られる「GreenTAGs」は、乳児に必要な栄養素を供給するこのOPOのユニークな栄養プロファイルを忠実に再現。

乳児用粉ミルクに一般的に使用されている植物油に代わる画期的な代替品となり、母乳と粉ミルクとの栄養ギャップを埋めることができるものだとされています。

The Live Green Coの共同創業者でCEOを務めるSasikanth Chemalamudiは、同社の技術について、「遺伝子の欠失による脂肪分解を防ぎ、トリアシルグリセロール分子と全体的な脂肪の生産量を増加させることで、品質、スケーラビリティ、商業的な実現可能性の問題に対処している」と説明。

今年初めにはカリフォルニアに拠点を置くYali BioCheckerspotが立て続けにOPOの開発に成功しており、今後の低コスト生産手法の確立が期待されます。

腸の健康に寄与するポストバイオティクス


もう一つの「GutRevyv」は、自社開発の菌株を使用した、腸の健康をサポートするポストバイオティクス成分。コスト効率の高い共発酵(co-fermentation)プロセスを採用し、現在100リットルの生産能力を築いています。

同社によると、ポストバイオティクスは生きた微生物ではないため、プロバイオティクスに比べて安全性が高いとのこと。使用方法が標準化されており、製造や保存が容易で、保存期間も長いというメリットがあります。

pHや熱、アルコールに対する安定性もあるため、栄養補助食品やパーソナルケア製品だけでなく、飲料やスイーツまで、さまざまな製品への使用が可能です。

2018年にチリで設立されたThe Live Green Coは、人工知能(AI)による分析技術とデータサイエンスを駆使して、植物、タンパク質、遺伝子、微生物株をデータベース化し、探索を実施。動物由来成分や合成物質に代わる、加工の少ない植物由来成分を開拓してきました。

チリは現在もパイロット市場と位置付けられていますが、2022年に米国・ボストンに本社を移転。昨年1月には、データサイエンスのチームを保有するインド・バンガロールの拠点に精密発酵部門を新設しました。加えて、シンガポールにアジア本社を設置するなど、グローバルな事業展開を行っています。

参考記事:
The Live Green Co. Unveils Yeast-Derived Breast Milk Fat and Gut Health Postbiotic
The Live Green Co Announces Breast Milk Fat & Postbiotic Ingredient Made from Precison Fermentation

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