英国の植物性代替肉メーカーTHISが、シリーズCラウンドで40億円超の調達に成功

英国の植物性代替肉メーカーTHISが、製品ポートフォリオの拡大と主力製品の収益性向上を図り、シリーズCラウンドで2,000万ポンド(約40億2,000万円)の調達を行いました。

英国の植物性食品業界は復調の兆し


ロンドンを拠点に代替肉の開発・製造を手掛けるTHISは、欧州のインパクト投資家Planet First PartnersがリードインベスターとなったシリーズCラウンドでの調達に成功。これまでの総調達額は3,500万ポンド(約70億4,000万円)に達しました。

過去の投資家には、BGF、Backed VC、FiveSeasons Ventures、元イングランド代表のサッカー選手クリス・スモーリングなどが含まれます。

英国では昨年、代替肉カテゴリーの小売売上高が3,840万ポンド(約77億5,000万円)減少。しかし、同国の食品小売り最大手のTescoは、2024年に入ってから植物由来のステーキと鶏胸肉の売り上げが20%増加し、ハンバーグの購入も2023年と比べて10%増加したと報告しています。

豆腐やテンペのような伝統的な植物性タンパク質製品でさえ20%増加しているといい、植物性食品業界にはやや復調の兆しが見られる状況となっています。

新製品の投入で売り上げを拡大


英国で最も急成長している植物性代替肉ブランドだというTHISは昨年、業界全体が低迷する中でも、急速に規模を拡大。

NielsenIQのデータを用いた『The Grocer』誌の調査によると、同社の昨年の売上高は2,400万ポンド(約48億2,000万円)に達し、金額ベースで前年比46.6%増、数量ベースでは同66.6%増となっていました。

すでに英国の代替肉ブランドでは3番手に入る規模だといい、スーパー大手6社(Tesco、Sainsbury’s、Asda、Morrisons、Aldi、Lidl)でも高いリピート率を記録しています。

ヴィーガンチキンピースで一躍有名になった同社ですが、ここ数年は新製品の投入を続けており、今年だけでも鶏もも肉(写真)、鶏むね肉、チキンシャワルマ、冷凍牛ひき肉、BrewDogとのコラボによる皮付きチキンウイングなどを発売しています。

現在は、消費者が食材として自由に使用できるような「スーパーフード」の開発を進めているとのこと。豆腐と似たようなものでありながら、市場で手に入るどの食材よりも栄養豊富な製品を目指しているといいます。

初の黒字化へ向け業務改革に着手


THISはまた、業務の簡素化・合理化を図り粗利率を改善する目的で、生産拠点を従来の17カ所からわずか3カ所に集約。研究所とオフィスをロンドンの1拠点に統合し、生産施設を北アイルランドとイングランドのロチェスターに置いています。

今年2月に創業者からCEOの座を引き継いだMark Cuddiganは『Sifted』に対し、「収益性という点ではこの12カ月で変革に成功したが、持続可能なビジネスになるためにはさらなる努力が必要だ」と語りました。

同社はつい先日、英国で発生した200人規模の大腸菌集団感染に関連して「Chicken and Bacon Wrap」(WH Smithへの限定供給品)のリコールを実施。英国食品基準庁(FSA)の発表では、製品から大腸菌は検出されておらず、リコールは単なる予防措置とされています。

こうしたアクシデントを乗り越え、今年は四半期で初の黒字化を達成するという目標を掲げています。

参考記事:
Vegan Meat Brand THIS Receives £20m In Funding
THIS Receives £20M Series C Investment to Launch New Plant-Based Meat Offerings
Plant-based food is “letting consumers down” – here’s how UK startup THIS plans to change that | Sifted

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