シンガポール国立研究財団、イリノイ大学ARCSの精密発酵センター設立に約23.6億円を拠出

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校付属の研究センター、Illinois Advanced Research Center at Singapore(Illinois ARCS)のYong-Su Jin教授率いるチームが、シンガポール国立研究財団(NRF)から5年間で1,480万ドル(約23億6,000万円)の助成金を獲得しました。

シンガポール国内に、精密発酵に焦点を当てた新たなセンター「Centre for Precision Fermentation and Sustainability(PreFerS)」を設立します。

食料自給と持続可能性の確保に寄与


発表によると、新センター「PreFerS」の設立は、食料サプライチェーンのレジリエンス向上、食料生産に伴う環境影響の低減、そして「隠れた飢餓」といわれる微量栄養素の欠乏への対処が主な目的。

シンガポールが推し進める、2030年までに必要な栄養需要の30%を持続可能な方法により国内生産するという目標を掲げた「30 by 30」戦略の実現にも貢献するものとなっています。

イリノイ大学のプロジェクトチームには、生物工学、食品科学・人間栄養学、化学・生体分子工学、土木・環境工学など、さまざまな分野の教授陣が名を連ねました。

シンガポール現地の研究メンバーにはシンガポール国立大学、南洋理工大学、シンガポール工科大学などの研究者も所属しています。

Yong-Su Jinは「この研究は、地球規模の気候変動を引き起こすことなく、人類の健康において大きな役割を果たし、世界中の食料供給の不公平にも対処できると信じている」とコメントしています。

大学主導で進む、精密発酵の基盤づくり


イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校は、2009年からシンガポールで研究活動を行ってきました。2023年、共同研究を促進するためIllinois ARCSとして組織を再編。

PreFerSは、Illinois ARCSがオフィスを構えるシンガポール国立大学のキャンパス内にある、NRFの出資で設立されたイノベーションハブ「CREATE(Campus for Research Excellence and Technological Enterprise)」を拠点とします。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校は、米国においても精密発酵の基盤づくりを推し進めており、同校のIntegrated Bioprocessing Research Laboratory(IBRL)が主導するiFAB Tech Hubは3月、イリノイ州の官民パートナーから総額6億8,000万ドル(約1,080億円)にも上る資金を獲得。

米国内で不足が顕著な発酵能力を増強し、ラボスケールからパイロット生産へと移行する企業のスケールアップにおける課題を解決する狙いです。

参考記事:
$14.8M Grant Supports Singapore Partnership on Precision Fermentation | ILLINOIS
Singapore Grants University of Illinois ARCS $14.8M to Launch Precision Fermentation Center
Singapore grant to establish precision fermentation center | Alt Meat

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