「Noochies!」ブランドの培養ドッグフード、米国での販売認可取得に向け申請へ

カナダのCULT Food Scienceが、ペットフードブランド「Noochies!」を展開する子会社Further Foodsを通じて、培養鶏肉原料の給餌試験に係る手順について今月中に米国食品医薬品局(FDA)への申請を行うと発表しました。

既存ブランドに培養原料を用いた新製品を投入


Noochies!」は、代替プロテインを活用したアニマルフリーのペットフードブランドで、栄養酵母を原料に用いたフリーズドライの犬・猫用スナックをすでに展開。先月には小売り最大手のウォルマートでも取り扱いが始まっています。

CULT Food Scienceはこれらに加えて、培養鶏肉を使用した新製品開発を計画しており、規制認可の取得に向けた最初のステップを踏み出しました。

ヒトの食用としてはすでに米国で認可された事例もある培養鶏肉ですが、ペットの食用としてはいまだ評価がなされておらず、FDAの動物用医薬品センター(CVM)と、米国飼料検査官協会(AAFCO)が連携した審査プロセスの対象となります。

認可に必要な給餌試験の開始に先立ち、CULT Food Scienceは試験手順について、FDAへの申請を実施予定。申請後45日以内に承認されると見込まれ、今年の第4四半期に試験開始を計画しています。

同社はオムニチャネルでヴィーガンペットフードの販売・流通網を構築している最中であり、培養製品もそのネットワークに投入する予定だといいます。

給餌試験の概要


獣医師で栄養学の第一人者でもあるSarah Dodd博士の協力を得て、AAFCOの策定したガイドラインに沿うようデザインされたこの試験では、さまざまな犬種および年齢の健康な成犬30頭をいくつかのグループに分け、26週間にわたって異なる量の培養鶏肉を与えます。

各個体について、飼料摂取量、血液、血清、排せつ物、体重の変化、消化率をモニターし、培養鶏肉の安全性と有効性を確認。

栄養不足や毒性の兆候がないこと、各グループで平均して体重が10%以上減少していないことなどの基準を満たせば、その食品は「完全でバランスの取れた」食品として分類されます。

CULT Food Scienceによると、「犬に与えられる培養鶏肉の給餌試験についてFDAと対話を行っているのは、当社が知る限りではFurther Foodsが唯一の企業だ」としています。

市場化に向けて動き出した培養ペットフード


ペットの健康と環境へのプラス影響が期待される培養ペットフード業界では、ここ一週間で大きな動きが複数見られ、市場化に向けて大きく前進しました。

英国ではMeatlyの培養鶏肉が販売認可を取得し、欧州で認可された初の培養肉に。大手ドッグフードブランドとの提携により、最初の製品が年内にも店頭に並ぶ予定です。

シンガポールの培養シーフード企業Umami Bioworksは、米国のFriends & Family Pet Food Co.と提携し、両国で培養魚を用いた猫用スナックを来年初頭に発売すると発表。

Umami BioworksにはCULT Food Scienceも以前投資を行っており、「Marina Cat」という培養キャットフードの新ブランドを立ち上げていました。培養魚ではまだ認可が下りた例がありませんが、初の市場化に期待です。

参考記事:
Noochies! Takes First Regulatory Steps to Launch a Cultivated Chicken Dog Product in the USA
Cult Food Science Set to Begin FDA Feeding Trials for Cultivated Dog Treats Under Noochies! Brand
UMAMI Bioworks and Friends & Family Pet Food Co. to Launch Cultivated Fish Cat Treats in 2025


* 2024.08.09追記:今月8日、FDAへの申請を実施したとの発表がありました。

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