マレーシアのCell AgriTech、隣国シンガポールから撤退したAvantの培養生産設備を取得

培養肉専門の受託製造企業(CDMO)Cell AgriTechが、培養シーフードを手掛けるスタートアップAvantの研究部門が保有する全設備を取得したと発表しました。
分析システムと小規模バイオプロセスの能力を強化
香港に本社を置き、培養シーフードの生産技術と海洋ペプチドのプラットフォームで知られるAvantは、負債問題により先月、シンガポールで運営していた研究部門Avant Proteinsの閉鎖を決定。シンガポールからの撤退に向けて、設備の売却を進めていました。
これに対して、生産能力の拡充を進めていたマレーシア企業のCell AgriTechが先月中旬に入札を行い、ラボスケールの生産システム、パイロットスケールのバイオリアクター、分析・加工ツールなど設備一式の取得に至っています。
取得金額は非公開ですが、Cell AgriTechの創業者で製造担当副社長を務めるJason Ng Chin Aikによれば、「戦略的かつ競争力のあるコスト」で設備を確保できたとのこと。
「細胞農業に特化した食品グレードのCDMOとして、当社は初期段階の研究開発からパイロット生産、商業生産に至るまでの顧客を支援する、全領域にわたる設備を必要としている。Avantの設備が廃止されることなく細胞農業界に貢献し続けられるようにするため、資産の取得を決断した」と語りました。
Cell AgriTechの生産能力は現在70~80%が稼働しており、さらなる拡大に向けて自社のバイオリアクターシステムも構築中。「今回買収した設備は、特に分析システムと小規模バイオプロセスにおいて有意義な能力を追加し、当社のインフラ全体を強化するもの」とNgは説明しています。
シンガポールで培養肉生産の下地を作る
Avantのシンガポール撤退は、培養肉スタートアップが直面する資金調達と事業拡大の課題を反映した動きでしたが、これにより代替プロテインはシンガポールの国家戦略においても後回しにされています。
同国環境大臣のGrace Fuは昨年、「生産コストの高さと世界的な消費者受容の予想外の下振れ」を理由に挙げ、培養肉はもはや短期的な食料安全保障戦略には含まれないと表明しました。
シンガポール食品庁(FSA)は、「代替プロテインの競争力が高まり、世界的に主流になるまでの間は、研究開発に注力していく」と方針を改めています。
その一方で、細胞農業分野で世界最安のCDMOを自称するCell AgriTechは、昨年シンガポールに新たな拠点を開設しました。200mLから5,000Lまでのバイオリアクターを備え、共有型で即時利用可能なインフラを提供しています。
こうしたサービスの活用により、培養肉企業はインフラや熟練労働力にかかるCAPEX(設備投資)とOPEX(運転費用)を削減しつつ、イノベーション、製品開発、商業化に注力することが可能です。
マレーシアの研究開発拠点は、HACCP、適正製造規範(GMP)、ISO 22000の認証を取得済み。シンガポールの施設も、該当する規制要件に準拠しています。
これまでに、培養肉・シーフード業界でUmami BioworksやAleph Farms、日本のインテグリカルチャー株式会社などと提携しており、植物細胞の培養や精密発酵分野でもパートナーシップを展開しています。
参考記事:
Jason Ng Chin Aik | LinkedIn
Exclusive: Cell AgriTech Buys Up Avant’s Cultivated Protein Equipment After Singapore Exit
Cultivated Fish Startup Avant Shuts Singapore Operations, But Continues to Eye Approval


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