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イスラエルのFinally Foods、プレシードラウンドの調達を完了し、ジャガイモを用いた乳タンパク質生産の規模拡大へ

分子農業を手掛けるイスラエルのスタートアップ企業Finally Foodsがプレシードラウンドの資金調達を完了し、調達総額を260万ドル(約4億1,400万円)に伸ばしました。

乳タンパク質カゼインを含有するジャガイモの栽培拡大に向けて、さらに400万~600万ドルの調達を目指しています。

4種類のカゼインすべてを、単一の植物細胞内で生産


2年前にステルス状態からの脱却を果たしたFinally Foodsは、コカ・コーラのイスラエル国内における販売代理店を担うThe Central Bottling Company(CBC Group)が主導したラウンドで、米国のエンジェル投資家グループI-Lab Angels、およびその他の個人投資家から支援を得ました。

数カ月以内に大規模なシードラウンドの開始も予定しており、総額400万〜600万ドル(約6億3,700万〜9億5,600万円)を目標に設定。この資金は主に、既存の契約の商業的可能性の最大化と、米国での事業規模の拡大に充てる計画です。

資金調達に併せて、非営利団体Neta Foundationの創設者Alon Ledermanが取締役に迎えられ、さらに乳製品サプライヤーMCT Dairiesの社長Ken Meyersと、VegInvest元代表のAmy Trakinskiも戦略顧問としてチームに加わりました。

Finally Foodsが開発を進める分子農業とは、植物の遺伝子を改変して、作物内で目当てのタンパク質を発現できるようにする技術。産生された標的タンパク質を葉やその他の植物組織から収穫して、食品用途に使用します。

同社は、乳製品に含まれる主要なタンパク質で、水分と脂肪分を乳化させる作用を持つカゼインに着目しました。

カゼインの構造はやや特殊であり、牛乳の中では4種類のカゼインタンパク質が「ミセル」と呼ばれる球状の構造を形成し、カルシウムなどのミネラルと結合しています。この独自構造のために、カゼインはもう一つの乳タンパク質であるホエイと比べて、再現が難しいとされてきました。

Finally Foodsは、単一の生物内(同じ細胞内)で4種類のカゼインすべてを発現させることに成功した、最初の分子農業スタートアップと主張しています。

精密発酵によるアプローチでは4種類を別々に生産する必要がありますが、共同創業者でCEOのDafna Gabbayによると、これにはコストが大幅にかかる可能性があるといい、すべての再現に取り組む企業は多くありません。対して、「分子農業は、単一の生物学的システム内で複雑なタンパク質を発現させるのに特に適している」とGabbayは述べています。

同社は、計算化学分野のイスラエル企業Evogeneが開発した「GeneRator AI」テクノロジーの独占的ライセンスを保有。Evogeneには、Gabbayと共にFinally Foodsを創業したCTO(最高技術責任者)のBasia Vinocurが、以前に研究開発担当副社長として務めていました。この技術を、研究開発サイクルの短縮、抽出の効率化、商業化の促進に役立て、生産プロセスを最適化しています。

2027年に米国の規制当局への申請を予定


Finally Foodsがカゼイン生産の主役となる植物にジャガイモを選んだ理由は、収穫量が多く、タンパク質の抽出も効率的に行えるため。人工知能(AI)をプロセスに統合することで開発を加速し、コストを低く抑えながらカゼインを高収率で得られるようになりました。

「最初に行った圃場試験は、ジャガイモの成長を検証し、実際の栽培条件下でのカゼインタンパク質の安定した発現を確認することに焦点を当てていた。2回目の試験では規模を拡大して、追加のカゼイン種の組み合わせを発現するジャガイモの栽培を試し、下流のカゼイン抽出工程の開発を進めた」とGabbayは説明。

現在は、3回目の圃場試験の最中であり、4種のカゼインすべてを発現するジャガイモの栽培に取り組んでいます。その一方で、すでにCBC Groupとの商業契約を結んで市場化への道筋をつけているほか、世界的な乳製品企業とも水面化で協議を進めています。

ただし、分子農業による原料の市場化にあたっては、規制当局の認可が必要。同社は、食品に使用するため抽出したカゼイン成分、そしてタンパク質発現に用いるジャガイモ系統の栽培・輸送・保管という2つの要素について、認可取得を目指しています。

Gabbayによると、米国における研究開発目的での栽培の承認を得るため、2027年中に米国農務省(USDA)への働きかけを開始する計画。並行して、カゼインの承認に関しても規制上の議論を開始するべく、2027年初頭に米国食品医薬品局(FDA)にアプローチする予定です。

さらに今年は、イスラエルの規制当局とも協力して、CBC Groupとの既存のオフテイク契約を履行するのに必要な承認を確保する予定。規制の進展に向けて、Global Stewardship Groupの「APCS」プログラムに創設メンバーの一社として参加しました。

このプログラムの目的は、USDA、FDA、米国環境保護庁(EPA)など米国の規制当局の期待に沿ったベストプラクティスを確立し、分子農業企業の市場化を支援すること。

「分子農業は、重要性の高い食品タンパク質のより持続可能な供給源となるポテンシャルを秘めているため、責任ある商業化と規制の進展にはこうした枠組みの構築が不可欠だ」とGabbayは述べています。

参考記事:
Finally Foods | LinkedIn
With New Round, Finally Foods Hits $2.6M in Funding to Grow Dairy Proteins in Potatoes with AI
Finally Foods closes pre-seed round to scale plant-based casein production in potatoes | PPTI News

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