Pinnacle Food Group、香港の研究所で組み換えヒトラクトフェリンの画期的な生産プロセスを開発

カナダ・バンクーバーのバイオテクノロジー企業Pinnacle Food Groupが、香港の研究所でメタノールを使用しない精密発酵プロセスを開発し、組み換えヒトラクトフェリンのコスト効率の良い生産に成功したと発表しました。
火災リスクのあるメタノールを排除して、設備投資を軽減
スマート農業とエンジニアリングに注力し米NASDAQに上場するPinnacle Food Groupは、高度な農業ソリューションと最先端の精密発酵・合成生物学プラットフォームを組み合わせることで、高効率かつ持続可能な食料システムへの移行を支援しています。
同社の香港の研究所で精密発酵の研究開発を行うチームが、最新の成果として、母乳に含まれる乳タンパク質の一種であるヒトラクトフェリンを生産するための新たな発酵プロセスを確立しました。
発酵の主役となる微生物には、食品業界で広く利用されているKomagataella phaffii(別名、ピキア酵母)を使用。カナダ企業のBioBoost Synbio Consultingとの研究提携を通じて菌株を入手しています。
この酵母は、メタノールをエネルギー源・栄養源として利用することができる特殊なメチル栄養細菌の一種であり、従来であればメタノールを与えて発酵させていました。しかし、引火性が高く毒性の強いメタノールを扱うには、防爆設備が必要なため莫大な設備投資がかかります。
精密発酵業界でとりわけ注目を集めているラクトフェリンですが、生産コストの削減は依然として課題。Pinnacle Food Groupの技術的ブレイクスルーは、発酵プロセスからメタノールを排除することで、深刻な火災リスクを減らし運用コストを大幅に削減します。
また、毒性のある残留物が一切発生せず、高純度の乳幼児向け栄養や医薬品用途において極めて重要な利点となるといいます。
安価なラクトフェリンの供給に期待
ラクトフェリンは、腸内環境の改善や免疫力強化に優れたタンパク質として知られ、妊娠中の鉄欠乏症の治療や、呼吸器感染症のリスク軽減に用いられてきました。
サプリメント、乳児用粉ミルク、機能性栄養食品など幅広い用途で大きな需要がありますが、精製されたラクトフェリンは入手が困難なため供給量が限られており、価格は1kgあたり600〜2,000ドル(約96,000〜320,000円)と非常に高額。
精密発酵技術により安価な供給が実現すれば、メーカーはより低コストで大量の製品を生産できるようになります。
Pinnacle Food Groupでは、ヒトラクトフェリンの開発が進展する一方で、その基盤となるメタノールフリーの技術プラットフォームは、ほかの目的タンパク質を生産するパイロットスケールでの検証にすでに成功しており、商業生産の準備が整っているとのこと。
CEOのJiulong Youは、「今回のブレイクスルーは、当社のバイオエンジニアリング戦略における重要な一歩となった。当社の技術力を証明し、業界パートナー向けに高付加価値のバイオ原料を提供する一流のB2Bサプライヤーとなるための道のりを加速させるものだ」とコメントしています。
精密発酵ヒトラクトフェリンの開発に取り組んでいる企業は複数あり、米国で約10種類以上の製品に採用実績のあるHelaina、ウシラクトフェリンではすでに販売認可を得ているオーストラリアのAll G、同じくオーストラリアのEclipse Ingredients、ポルトガルのPFx Biotechなどが挙げられます。
参考記事:
Pinnacle Food Group Develops Breakthrough Process for Recombinant Breast Milk Protein at Hong Kong Lab
Pinnacle Food Group Limited Announces Entry Into a Non-Binding MOU to Explore Establishing an Open Yeast Platform Hub in Hong Kong


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